JICA海外協力隊として任地に赴任すると、
自分がいる理由、つまり存在意義が分からなくなる場面に出逢います。
この記事では、そんな場面に出会ったボクや周りの隊員の体験や
そうなった時の解決方法についてを
紹介したいと思います。
活動し始めて最初に悩むこと
JICA海外協力隊にやっとの思いで合格して
70日間の訓練では、睡眠時間を削って語学の勉強をして
赴任したら首都では
また語学の勉強をしたり、細かいガイダンスがあったり…
そこで初めて、自分の2年間生活する街に派遣されます。
やっと、配属先の学校や病院などで仕事をし初めたと思ったら
ある壁にぶち当たります。
それが、
自分が来た理由や存在意義が分からなくなる場面
です。
どんな場面なのか、具体例をもとに説明しますね。
コンピュータを扱う隊員の話
パソコンを教える協力隊の職種は主に2つ。
・コンピュータ技術 ・PCインストラクター
どんな壁?
パソコンを教えに来たのに学校にパソコンがない!
こんな話を、協力隊のあるある話で聞いたことはないでしょうか?
ぶっちゃけ、あるあるです。笑
コンピュータ技術やPCインストラクターの職種は主に、
- 配属先のパソコン室の管理
- 配属先の方へのパソコンの使い方指導
- 学校のパソコンの授業
などが活動の内容になります。
配属先に到着後、いきなり問題になるイベントが発生します。
パソコンを教えに来たのに、
そこにパソコンはなかった
という事態です。
解決策は?
ボクの知っている隊員は、
パソコンを寄付してくれる日本のNPOを探し、
そこにメールで依頼をして、
配属先と話し合って、輸送費の予算を確保してもらい、
パソコンを仕入れるところから活動を始めていました。
結果、
彼は現地でパソコンを教える活動ができ、
生徒も授業でパソコンの使い方を学べるようになり
先生もパソコンで成績処理ができるようになり
みんなが幸せになったそうです。
素晴らしい活動ですよね。
学校配属の隊員の話
学校配属の隊員は主に、
・小学校教育 ・理科教育 ・数学教育 ・体育 ・幼児教育
などがあります。
(注:他にもあります。)
どんな壁?
これは、小学校教育という職種で派遣されたボクの体験です。
ボクは、
- 理科と算数の授業を担当して欲しい。
- 教員研修などを通して先生にも技術指導をして欲しい。
- その他、得意な分野で情操教育に関わる活動をして欲しい。
しかし、先生たちは想像以上に授業が上手で、勉強熱心、
ベテランの先生は、ボクの知らないような実験をやっていたりもしました。
「ほぼ新米教員のボクが何かを教えるなんておこがましくね?」
「現地の教育事情がわからないのに授業やって大丈夫?」
「授業をやるだけなら、ただのマンパワーじゃない?」
「言葉が出来なさすぎて、マンパワーにもなってなくない?」
「てか、ここ本当にボランティア必要なの?」
なんて思ってました。
全部ホンネです。笑
解決策は?
まずは、パプアニューギニアの教育を知るために
教科書を読みながら授業を頑張って、
色々な人と話しながら言葉を覚え、
段々と慣れていきました。
すると、
子どもたちが勉強している内容をイメージできていないんだな
そんな課題が見えてきました。
実験を取り入れたり
図を描いたり、
体を動かしながら学ばせたり、
そんなことをやっているうちに、
他の先生が授業を見にきてくれるようになりました。
次第に、真似して授業をしてくれるようにも!
これはボクの中で、大きな成長でした。
現地のことを知れば知るほど、
次第に、色々な課題解決に取り組むことができるようになっていきました。
この話は、また詳しく話します。
コミュニティ開発隊員の話
どんな壁?
さあ、何をしよう?
これが、多くのコミュニティ隊員が最初にぶつかる課題です。
良くも悪くも、
活動内容が最もハッキリしていない職種
と言っても過言ではないコミュニティ開発。
JICA海外協力隊のウェブサイトを見てみても、
コミュニティ開発は、地域住民が望む生活改善や収入向上、地域活性化への寄与を目的としています。フィールドワークや住民参加型のワークショップを企画・運営し、地域や住民の状況、ニーズ、課題を把握することが出発点となります。住民とともに、人的資源・地域資源を最大限活用し、地域の開発課題解決のために活動します。
JICA海外協力隊 シゴトを知るコミュニティ開発 より引用
活動分野は、農業普及、保健医療、水・衛生、地場産業振興、村落開発事業など、地域の開発課題に合わせて多岐にわたっています。
「状況やニーズの調査が出発点」
という記載があります。
看護師の隊員は看護師の仕事があります。
小学校教育の隊員は、小学校の先生の仕事をベースに教育の改善をします。
パソコンの有る無しは置いておいて、ひとまずPCインストラクターはパソコンを教えるために派遣されたわけです。
しかし、コミュニティ開発隊員は、
「さあ、何をしよう?」
というところから、活動が始まるわけです。
何をしていいのか分からなくて
活動に悩む協力隊もいます。
解決策は?
解決策は、
現地の人とたくさんの時間を過ごして、
現地の人とたくさん話して、
現地のことを知る。
これに限ると思います。
正直、これはどの協力隊の人にも言えることです。
でも、コミュニティ開発隊員は特に!
だと思います。
職場の前で街の住民と、
毎日お喋りをすることから始めた同期の友人に、
以前ラジオでインタビューをしたことがあります。
彼は漁業組合に配属されていたのに、
現地に行ってみたら漁業組合が無かった
なんてところからのスタートだったようです。笑
共通点は先入観
ここまで説明してきましたが、いかがだったでしょうか?
びっくりしましたか?
それとも予想通りでしたか?
なぜこうなるのか?
なんでこうなるんだろう?
と考えてみたことがありました。
すると、1つ共通点が見えました。
あくまでボクの考なので、
「こういう考え方もあるのか。」
程度に読んでみてください。
こういう事態ってどれも、先入観で起こると思うんですよね。
途上国=技術低い 何かしてあげなきゃ!
って思いで現地に派遣されると、
たぶん大きな違和感を感じる場面に出会うと思うんです。
・PCインストラクターを要請しているんだから、現地ではパソコンを教えるに決まっている。 ・小学校教育の職種は、たぶん現地の先生の暗記ばかりの授業を改善するために先生の指導をする。 ・コミュニティ開発として派遣される村の人たちは、貧しくてお金に困っているはずだ。
こんなイメージを前提として現地に行くと
・配属先にパソコンがない時、
・先生の授業が上手だった時、
・村の人たちが幸せに暮らしていた時
きっと困惑してしまうはずです。
現地の人たちは現地の人たちで、
最善を考えながら仕事をしているわけです。
じゃあどうする?
パソコンを教えに来たのに学校にパソコンがない!
そこで、
パソコンがないから仕事ができない。
なんて言ったら、何もできないですよね?
でも、現地の人たちがパソコンを求めているのなら、
パソコンを導入する方法を一緒に考えるのが活動になりませんか?
ボクの場合は、
理科の授業、算数の授業、先生へのアイデア提供をスタートに活動を始め、
現地の課題をテーマにした絵本づくりの挑戦したり、
子どもたちの得意な音楽を活かしたプロジェクトをやったり、
幅広く、様々なことに取り組ませていただきました。
実際に、
- 思っていた途上国のイメージと全然違った。
- ここ、本当に支援が必要なの?
- やろうとしていたことができない。
という話をよく聞きます。
こういう事態は、結構色々な協力隊員から聞く話です。
そんな「イメージと違う場面にぶち当たった時」には
一呼吸置いて考えてみる。
本当に、この人たちに必要なことはなんだろう?
今、自分にできることはなんだろう?
そんなふうに考えてみるのが良いのでは?
と思います。
・現地にいく前に、先入観を持たずにいくべし! ・現地のことは、現地を見てから考えるべし!
長くなってしまいましたが、
これがこの記事で伝えたいことです。
どうしても事前に知りたければ、
実際に行った人(現地に住んでいる日本人、隊員OBの方)に連絡とってみる。
ことをオススメします!
ラジオで聴く
この内容は、音声でも配信しております。
何かボクに聞きたいことがあれば、
ぜひコメント欄で質問してくださいね。
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